初心者のためのネット株入門

株主優待銘柄の良い点とリスク

株主優待の良い点・悪い点

株主優待がもらえるというのはとても魅力的なので、株主優待を実施している銘柄はとても人気があります。しかし、株主優待を実施していて人気があるからこそのリスクも存在します。

ここでは株主優待の良い点とリスクについて考えていきます。



株主優待銘柄の良い点

株主優待があると資金量が限られた個人投資家にはとても有利になります。個人投資家に有利な点としては「総合利回りが良くなる」、「株価が安定しやすい」、「投資を続けやすくなる」などがあるでしょうか。以下に詳しく説明します。


総合利回りが良くなる

株の配当金は株数に比例して多くなります。100株で1,000円なら1,000株で10,000円という感じです。しかし、株主優待は株数に比例して多くなるわけではなく、多くの場合少ない株数の方が有利になっています。なので、先ほどの例で100株以上保有で1,000円のクオカードの株主優待が付けば、100株で2,000円、1,000株で11,000円と、1株あたりの利益が前者は20円、後者は11円と、配当金と株主優待を合わせた総合利回りは良くなります。

総合利回り

なので株主優待がもらえる最小株数で多くの銘柄に分散することによって、限られた資金量の個人投資家でも総合利回りが有利な投資をすることができるわけです。


株価が安定しやすい

株価は常に大きく変動するものですが、株主優待が人気の銘柄は大きく下げても回復が早い傾向にあります。相場はなにかしらのショックで暴落し、関係のない銘柄まで売られることが多々ありますが、そのような時こそ人気の株主優待銘柄を買うチャンスとなります。


投資を続けやすくなる

株主優待は年に1~2回実施されているので、半年か1年に1回株主の元に株主優待が届きます。なので次の株主優待を楽しみに投資を続けることができ、目先の利益を優先せずに長期投資をすることへの励みになります。さらに長期で株主を連続で続けると株主優待の内容もグレードアップし、総合利回りもアップします。

稲畑産業(8098)の株主優待

稲畑産業(8098)の株主優待の例(2020年9月末予定)。長期になるほどクオカードが増額します。株数が増えて長期保有になるともっと増額します。



株主優待銘柄のリスク

株主優待はいいことずくめのように見えますが、やっぱり株式に投資する以上はリスクと無関係であるはずはありません。株主優待銘柄のリスクとしては「権利落ちが激しい」、「過度に割高な場合もある」、「経営を圧迫している」、「一時的に株価をあげたい意図」などいろいろ考えられます。


権利落ちが激しい

株主権利は権利日を持ち越すだけで得られるため、権利落ちの日には「配当金+株主優待」分の株価の下落があるのが普通です。しかし相場の需給にもよりますが、人気のある株主優待銘柄は「配当金+株主優待」分をはるかに超える株価の下落が起きることが良くあります。そのような下落は一時的でしばらくすると戻ることが多いですが、大幅な下落で狼狽して売ってしまうと株主優待分を大幅に超える損失を出してしまったりするので注意してください。

株主優待銘柄の権利落ちは大きく下落するもの、そしてしばらくすれば戻る可能性が高いものとして慌てないことが重要です。目先の利益よりも長期目線が株主優待投資では報われやすいです。

安楽亭(7562)のチャート

安楽亭(7562)の株価推移。緑色がついているのは年に2回の権利日前後。権利日に向かって上昇し、権利落ちで激しく下落することが毎回起こっています。


過度に割高な場合もある

株主優待が人気なゆえ、実質の会社価値よりも過度に割高になっている場合もあります。業績が伸びている、または現状維持を続けていければいいのですが、業績が悪化してきた場合、株主優待を実施するコストを払うのが苦しくなって株主優待を改悪したり、最悪の場合は廃止したりすることもあります。

そうなると、もともと株主優待の人気で株価が支えられていたので、割高だった株価が修正する、つまり暴落することになります。人気の株主優待銘柄も業績が大事ですので、経営に異変がないかどうかは常にチェックを怠らないようにしましょう。


経営を圧迫している

企業が株主優待を実施するのにはもちろんコストがかかります。特に金券やギフト商品などは額面通りのコストがかかるので、その分利益から捻出しなければならなくなります。自社商品であったら小売価格よりも安いコストで実施できるので影響は少なくなり、飲食店の食事券とかもコストは原価で良くなるし、来店のプロモーションの意味もあるのでコストは額面よりもだいぶ安めになります。

このような株主優待実施のコストも考えておかないといけません。明らかに経営を圧迫している株主優待を実施している場合には持続が困難になり、改悪または廃止で株価が暴落するなんていうことも起こります。


一時的に株価をあげたい意図

明確にそうだとは言えないのですが、一時的に株価をあげたいがために株主優待を実施しているんじゃないかと思わせることもあります。株主優待を実施することで株価を上げ、大規模な増資をして、資金を集めるだけ集めてしばらくしたら株主優待を廃止して暴落・・・なんていうこともあるので、信頼できる会社かどうかを見極める必要もあります。


以上のように株主優待と言っても株式投資の一部なので、利益とリスクを十分に理解した上で投資するようにしましょう。




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