初心者のためのネット株入門

「板」と株価の変動

板

株の取引きは「板(いた)」という、買い注文と売り注文がどれだけあるのかを集計している表を見ながら行います。この板を見ることで、いくらで何株の注文があるのか、現在の株価はいくらなのか、買い注文と売り注文のどちらの方が優勢なのかなどの状況を見ることができます。

ここでは株の売買に必要な「板」に関連した事柄ついて解説していきます。



「板」と「気配値」とは?

板を見るといくらで買いたいのか、いくらで売りたいのかという値段が載っていて、その値段を「気配値(けはいね)」と言います。この、板というものは証券会社の取引画面から見ることができます。実際の板はこのようなものです。

板

表は縦に見て、左が売り注文の数量、真ん中が気配値、右が買い注文の数量になります。この表を見ると、920円に9,400株の売り注文があるとか、913円に3,900株の買い注文があるとか、現在出ている注文が分かります。

買い注文で最も高い値段(赤文字の914円)を「買い気配値」、売り注文で最も安い値段(青文字の915円)を「売り気配値」と言います。

気配値のOVERは924円超の売り注文が85,300株あることを表し、UNDERは905円未満の注文が77,500株あることを表しています。「成行」についてはまた後ほど説明します。

気配値の範囲
一般的には現在の価格からある程度の上下範囲までしか見ることができませんが、基本的には有料で全ての気配値を見ることができるサービスがあります。SBI証券では「全板サービス」として行っていて、1ヶ月税込324円です。口座を開設してから1か月無料、または前営業日に現物取引を1回行えば無料で利用できます。また、信用取引口座を開設すれば無期限で無料利用できます。


株の売買単位(単元株)

先に例に出した板を見てみると株の数量が100の倍数になっています。これは「この銘柄は100株単位で売買する」というように決められているからで、この売買単位を「単元株(たんげんかぶ)」と言います。

この単元株数は株主の権利を得るための最小株数でもあります。なので単元株数が100株の銘柄を20株持っていたとしても配当金はもらえますが、議決権や株主優待をもらえる権利はありません(たまに単元株数未満でももらえる株主優待がありますし、最低単元株数ではもらえない株主優待もあります)。しかし、1株でも持っていれば株主ではあります。単元株未満の売買は証券取引所ではできませんが、単元未満株取引ができる証券会社なら売買することができます。

売買単位の統一
証券取引所では売買を分かりやすくするように全ての銘柄を100株単位に統一しようとしています。なのでETF(上場投資信託)やREIT(上場不動産投資信託)などの特殊な銘柄を除いてほとんどの銘柄の単元株が100株になります。


現在の株価と注文

板1

現在の板がこのようになっているとします。このときの株価はいくらでしょうか?正解は200円、または199円になります。売りが出ている最低額が200円なので、成行(なりゆき)で買い、または200円で指値(さしね)買いをすると買えることができ、約定すると現在の株価は200円になります。

また、買いが出ている最高額が199円なので、成行で売り、または199円で指値売りをすると売ることができ、約定すると現在の株価は199円になります。このように株価とは最近に約定した価格といえます。

成行と指値
成行とはいくらでもいいから株を買ったり売ったりしたいという注文方法です。買い注文なら現在注文が出ている一番安い売気配で、売り注文なら一番高い買気配で約定します。指値とは価格を指定する注文方法で、指定した価格になるまで約定しないで板に残ります。


199円で指値注文を出したらどうなるの?

板2

では、今度は買い注文を100株出してみましょう。成行買いだともちろん即座に200円で買えます。しかし「200円はちょっと高いな~」と思って199円で指値買い注文を出すと、すでに199円には500株の買い注文があるのでその後ろに並ぶ形になり、だれかが売ってくれるまで待つことになります。そして199円に100株の買い注文が追加されたため、199円の買気配株数は600株になります。


どうしても1000株ほしいので成行買いをだしたら?

板3

今度は買い注文を成行で1000株出してみましょう。その場合は売りが出ている注文の安い順に約定していき、200円の600株、201円の400株が買えることになります。そしてその結果が201円と202円が無くなった板になります。

最近の約定価格が201円なので株価があがりました!しかも200円と201円の売りが無いので、買いたいと思ったら202円でしか買えないことになります。そして202円が買われると株価が202円とまたあがります。このようにして買いが進むと株価が上がっていくわけです。


板4

気配値に空きができる状態になると、売る方も「199円で売るのはもったいない」と考え、買う方も「202円は高い」と考えるため、しばらくすると売れて無くなってしまった気配値に買い注文が出る、または注文が移動したりします。201円に100株の買い、200円に200株の買い注文が出て空きが埋まりました。


201円で500株売りたいので指値売りを出したら?

板5

今度は売り注文を201円の指値で500株出してみましょう。買いが201円で100株出ているため、100株はすぐに約定します。しかし400株の注文が残ってしまいました。残った400株の注文は201円の指値売りとして残るので、誰かが売ってくれるまで待つことになります。


気配値の刻み(呼値の単位)

例として出した板を見てみると、注文できる株価の刻みが1円単位になっています。この売買できる株価の刻みのことを「呼値(よびね、『呼び値』とも書きます)」といいます。呼値の一覧表は次のようになります。

呼値の一覧表

呼値は株価が高いほど刻みが大きくなって、3,000円以下だと1円刻みだったのが、3,000円を超えると5円刻みになります。また、TOPIX100銘柄については特別に刻みが小さくなります。


制限値幅

日本の株式市場では株価の1日の変動額が決まっていて、変動幅いっぱいまで株価が上がることを「ストップ高」、変動幅いっぱいまで株価が下がることを「ストップ安」と言います。

もし株価の変動額に制限が無い場合、買いが殺到して物凄く高騰したり、売りが殺到して信じられないくらいの大暴落をしてしまったりするため、1日の株価の変動額には制限が設けられています。1日の株価の変動額は前日の終値(前日の最後に売買が成立した株価)などの基準値段によってあらかじめ決められていて、基準値段が高いほど変動額は大きくなります。制限値幅の一覧は次のようになります。

制限値幅の一覧表



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